私が開院した理由

治療家になろうと思った理由、それは…

日本一を３度経験した現役時代

小学校から15年間サッカー選手として打ち込んで来た中で大学時代は膝の怪我との戦いでした。日本を代表する選手たちが揃うチームでの練習やレギュラー争いの激しさは壮絶でしたが常に膝の怪我を心配しながらプレーすることの精神的苦痛やリハビリ期間は本当に辛かった記憶があります。

人生を大きく左右した出会い

大学在学中に膝の手術を2回行いました。1度目の手術では思うようにプレーすることが出来ず、2回目の手術に踏み切ったのですが、1回目よりも倍のリハビリ期間が必要でした。落ち込んでいた私に寄り添ってリハビリを担当してくださった先生との出会いが今の私の医療に携わる道を開いてくれました。もともと教員志望だったのですが、先生と過ごす時間の中で痛みで苦しんでいる人に元気を与える仕事に興味を持ち始めました。そして大学卒業と同時に選手を引退し柔道整復師を目指すために専門学校に入学しました。

整骨院で働きながら感じた違和感

3年間は必至で勉強しアルバイトで整骨院で働き週末はスポーツトレーナーとして現場経験をさせて頂きました。国家試験に合格し念願だった医療での仕事は本当に学びが多く、また悩むことも多かったですが同じ職場のスタッフには本当に恵まれていました。ですが段々と違和感も出てくるようになりました。それは、どの人にも同じような施術をするスタイルに疑問を感じ始めていたのです。痛みの原因をはっきりさせ、その人に適した施術で健康サポートをしたいという気持ちが強くなっていきました。

結婚、出産、子育て、そして開院へ

月曜～土曜まで整骨院で働き、日曜日はトレーナー業務という休みなしの8年間を過ごしました。ご縁があり今の旦那さんと結婚したのですが、子供を授かった時に当時働いていた職場では出産後も、妊娠前と同じような働き方をしてほしいと言われました。私としては子供との時間も大切にしたかったので退職せざるを得ない状況でした。その時に女性が子育てをしながら働くということについて初めて真剣に向き合いました。きっとどこで働いても仕事と子育ての両立に悩むだろうと思い子供の一番近くで働こうと自宅を診療所として開院することを決意しました。

患者さんが来ない日々を救ってくれたおばあちゃん

当院は、2010年以来多くの方とのご縁を頂き施術をしてきました。しかし開業当時は1日に1人か2人という本当に集客に大きな課題がありました。どうしていいのか分からず、ただただ待つだけの日々を送っていました。当時はSNSなども普及していない時代でポスターを自分で作り配りに行ったり母校に足を運んだり知り合いに電話をして開院したことを伝えるなど本当に辛かったです。

そんな時にあるおばあちゃんが来られました。膝が痛くてどうしようもないと・・・毎日来てくださったおばあちゃんとは施術してから1時間以上おしゃべりするのが日課になっていました。ある時にその患者さんから「本当に患者さん来ないわね、私が連れて来てあげるわよ」と笑いながら毎日施術が終わると違うお友だちに電話をして当院を待ち合わせ場所にしてくれたのです。その温かく斬新なおばあちゃんの行動がきっかけで地域の多くの方に広まり患者さんが外で並ぶほど増えてくれました。

私は開院当時10年は頑張ると決めていたのですが、ちょうどそのおばあちゃんが10年目にお亡くなりになり本当に感謝の気持ちで涙が止まりませんでした。

働く幸せとは

整骨院で働く女性は全体の30％です。その中で院長として開業している割合は10％に満たないほどです。仕事と育児の両立は悩みがつきません。常に自分が選択してきたことは本当に良かったのかと思うことも多いです。子供に申し訳ないと思うこともしょっちゅうです。でも、私にこの医療の道を開いてくれた先生は、お母さんが働く姿を子供に見せれることは素敵なことだよ、と言ってくださいました。最近では20代～30代の方々に子育てと仕事の両立について相談されることも増えました。私が感じる仕事の幸せは誰かを笑顔にしたり、幸せにすることの前に自分自身が毎日笑顔で幸せだと感じることが仕事をすることの幸せややりがいにつながると思っています。多くの方のご縁やスタッフのサポートで現在の治療院の在り方があります。

これからも自分の身体に不安がなく毎日を快適に過ごせる人を増やしていけるように目の前の方の施術に誠意をもって取り組んでいきます。